本記事では、改良メダカの灯(あかり)について解説します。
概要
黄体色と白体色の2色で、体外光の特徴を持つメダカのニックネームです。
黄体色、白体色、体外光の特徴はこちらの記事にまとめています。
品種名・通称
品種名 | 品種名 | 黄白体外光メダカ |
形質補足 | – | |
共通補足 | – | |
通称 | 灯(あかり) | |
様々な呼び名 | 黄幹之(きみゆき) |
作出情報
作出年 | 2014年 |
作出者 | 森口勉 |
メダカナンバー(管理番号)
種類No. | 品種No. | 固定品種No. |
0242 | 0227 | – |
固定率
–
説明
2014年に森口氏が作出。幹之メダカに初めて黄色素胞が発現した品種です。同年に静楽庵が同じ形質の黄幹之を作出しています。
黄色が部分的に発現する特徴を活かして、様々な品種の作出に関与している重要なメダカです。
固定率は低く、上述の特徴以外にも、黒色、灰色、3色、体外光無し、など様々な個体が出現することも灯の特徴です。
灯のすごいところ
灯の作出(2014年)は、改良メダカ界において衝撃となるものでした。その理由は、灯が幹之メダカ(体外光)に黄色い体色が乗った初めてのメダカだったからです。
灯の作出以前は、幹之メダカの体色は青と白の2種類しかありませんでした。多くのメダカ愛好家が、青と白以外の幹之メダカを作出しようと、様々な交配を重ねましたが、結果として青、白以外の体色の幹之メダカを作出することはできませんでした。
そして2014年、灯の作出によって、愛好家が待ち望んだ第3の幹之メダカ(黄幹之)が誕生しました。
▲青幹之(2007年作出) | ▲白幹之(2007年作出) | ▲黄幹之(灯|2014年作出) |
体外光に黄色体色が乗った理由として、部分的に黄色細胞が出現する遺伝子(非透明鱗遺伝子などと呼ばれる)の関与が考えられます。この部分的に黄色細胞が出現する遺伝子は、非透明鱗系3色メダカや3色ラメ幹之メダカなど、様々な新品種の作出に関与しています。
新しい幹之メダカの表現型だけでなく、様々な新品種誕生に関与する遺伝子を持っていることが灯の魅力です。
灯のスタンダード
作出者である阿波めだかの里の森口様に話を伺ったところ、黄色体色に体外光が入る「黄幹之」がスタンダードである、との事でした。
また、先にふれたとおり様々なタイプが出現することも灯の特徴であるため、めだかの館では特徴ごとに系統管理を行い、様々なタイプの灯メダカを繁殖させています。
【スタンダードの特徴】 ■体色は黄色ベースもしくは黄色と白の二色。黒色やブラックリム(黒い鱗片)などの特徴が入る個体はスタンダードからは外れる。 ■体外光(幹之メダカが持つ背中の青白い光)が入っている。 |
作出の経緯
作出のスタートは、「幹之メダカ×クリアブラウン」と「幹之メダカ×白メダカ」の交配によって作られた「小桜幹之(こざくらみゆき)」から始まります。小桜幹之の中の緑っぽい個体と幹之を交配し「粋流し(きながし)」を作出し、この粋流しを親メダカとして灯を作出(2014年)しました。
阿波めだかの里 森口様より資料提供
もうひとつの黄幹之
黄幹之(体外光を持つ黄色体色ベースのメダカ)は、灯以外にも岡山県の静楽庵様により作出されています。静楽庵系統の黄幹之は作出経緯が灯とは異なることから、偶然にも同様の個体が別々の場所で同時期に作出されたと考えられます。
したがって、めだかの館では、黄幹之の作出者は阿波めだかの里の森口様、静楽庵様の御二方ということで整理しました。
また、めだかの館が取り扱っている黄幹之はすべて灯であり、灯をベースとして新品種の作出に取り組んでいます。
▲静楽庵系統の黄幹之 | 静楽庵様より写真提供 |
飼育のポイント
基本的な飼育方法とよくある質問はこちらの記事にまとめています。
全メダカ共通の選別ポイントはこちらの記事にまとめています。
普通種の選別ポイントはこちらの記事にまとめています。
選別方法
灯は様々な特徴を持つ個体が産まれるため、特に確立された選別方法はありません。
飼育者が目指す特徴もしくは大切にしたい特徴を明確にして、その基準をベースに個体を選別すれば、魅力あるメダカを作出することができます。それが灯のおもしろさであり、同時に思うようにいかない難しさでもあります。
灯は多様な特徴を持っているため、異種交配により新品種が多く作出されています。新品種を作出したいと思う方は、ぜひ一度は灯との交配を試してみることをオススメします。
類似するメダカ
青幹之(あおみゆき)
白幹之(しろみゆき)
灯ラメ(あかりらめ)
灯ラメ錦(あかりらめにしき)
ギャラリー
写真
参考資料
書籍
2021年度版「100年メダカ ~改良メダカ大図鑑~ vol.18」
web
その他資料
様々な表現型の灯
灯の子供(F1)の表現型も様々
灯から発展したバリエーション(めだかの館)
▲灯錦 | ▲灯錦 | ▲灯錦 |
▲灯ラメ | ▲灯ラメ | ▲灯錦ラメ |
灯から発展したバリエーション(阿波めだかの里)
阿波めだかの里 森口様より資料提供