白ラメ幹之 誕生物語

メダカ史

白ラメ幹之作出経緯

文章 和田敏拓

2010年、楊貴妃ヒカリダルマ×白幹之のF5の水槽の中から白体色のラメ(ミルキー体色にラメが数枚入っている個体)を発見しました。

当時私は、シルバーラメヒカリの影響で、ラメの入っているメダカに注目していました。私が発見した白体色のラメには、シルバーラメヒカリの銀色のラメとは違う、青色のラメが入っている事に気が付き、強く興味を持ったことを覚えています。また、ヒレに幹之の光が入っていたので幹之の特徴を持つラメメダカなのだと感じました。すぐにラメが入っている個体のみを選別し、交配を開始しました。

▲青体色に発現するラメ ラメ幹之が発表される前のラメは、写真のように数枚の鱗片にしか発現しなかった。

▲青体色に発現するラメ。ラメ幹之が発表される前のラメは、写真のように数枚の鱗片にしか発現しなかった。

▲楊貴妃ヒカリダルマ ラメ幹之の作出に関わる品種。朱赤体色にはラメが発現しにくい。

▲楊貴妃ヒカリダルマ。ラメ幹之の作出に関わる品種。朱赤体色にはラメが発現しにくい。

▲白幹之 ラメ幹之の作出に関わるもう一つの品種。ラメと幹之的光の組み合わせにより、現在のような多くのラメを発現するメダカが産まれるようになった。

▲白幹之。ラメ幹之の作出に関わるもう一つの品種。ラメと幹之的光の組み合わせにより、現在のような多くのラメを発現するメダカが産まれるようになった。

 

交配した親メダカからは白体色と朱赤体色の子供が産まれてきました。白7:朱赤3の割合で白、朱赤ともにラメが遺伝しており、白と朱赤2系統に分けて選別し交配を行いました。しかし、朱赤体色はラメが入りにくいので2世代の交配で中断しました。白体色のラメは代を重ねるごとに順調にラメが増えていきました。交配の過程で幹之の光が背中に出現する個体が現れたので、幹之の光が入る個体とラメだけの特徴が出ている個体の系統に分けて交配しました。結果はラメのみを追求した系統の方が、ラメの遺伝率は高く、現在のラメ幹之のベースになる系統となりました。

そして2010年の作出開始から2年後の2012年の春に体表の約7割にラメが入る「ラメ幹之」が産まれました。最初の交配から5代目の世代でした。今でもその個体を見つけた時の驚きと感動を覚えています。

タイミングよく、一か月後に第4回春季日本メダカ品評会が開催されるので出品しようと思いました。私は過去にも品評会に出品していたのですが、受賞したことは一度もなかったのでラメ幹之を出品した時も賞のことは考えておらず、記念出品程度の気持ちでした。しかし品評会の審査後、私の出品したラメ幹之がバラエティー部門で1席を受賞したことを知ったときは大変驚きました。さらにラメ幹之を見た方々から「すごいメダカを作出したね!」「ラメ幹之が欲しい!」と声をかけて頂き、自分のメダカが人に評価された喜びを感じました。

白ラメ幹之(2014年撮影)

第4回春季日本メダカ品評会 バラエティー部門で1席を受賞した「ラメ幹之」(2014年)

引用 日本メダカ協会HP http://jma-medaka.jp/exhibition_4_spring.html

その後、白ラメ幹之(作出した当初は白体色のみ)はラメの増加に重点を置き交配を進め、強ラメ以上の遺伝率が90%を超えました

その他にも異種交配を行い、青幹之と交配した結果、青ラメ幹之の作出に成功しました。しかし、青幹之透明鱗と交配した系統は良い結果が出ず、純粋な透明鱗にはラメが入らない事が確認できました。またラメは白、青、茶体色には遺伝しやすいが、黄、朱赤体色にはラメが入りにくい特徴がある等、ラメ幹之の交配を行う上で様々な発見がありました。

ラメ幹之の発表後、全国にラメ幹之が流通し、各地で様々な派生品種が誕生しました。その中でも私が最も衝撃を受けた品種が黒ラメ幹之でした。黒体色にラメが遺伝したことはもちろん、ラメの色が多色になるカラフルラメの美しさに感動しました。自分が交配を行っているラメメダカとは大きく違った特徴に、作出者の視点の違いやラメの魅力を最大限に引き出した素晴らしい品種だと感じるとともに、ラメメダカの可能性を再確認できました。その後もラメメダカの新品種は次々に発表されていますが、ラメの遺伝しやすい特徴が異種交配に向いており、ラメを乗せることで既存品種に新しい魅力を加えられる可能性が高い事が、現在のラメブームを支えている要因の一つだと考えています。これからもラメメダカの進化を楽しみ、新しいラメメダカの作出に挑戦していきます。

 

※本記事は、めだかの館 2018年度版 最新メダカ型録 vol.16に掲載された記事を参考にしています。

参考資料

めだかの館 2018年度版 最新メダカ型録 vol.16, めだかの館,2018年発刊