アルビノホタルダルマ誕生物語

メダカ史

本記事では、アルビノホタルダルマメダカ(アルビノヒカリダルマメダカ)の誕生物語を紹介します。

ピュアブラックメダカ(黒べえ)

白アルビノホタルダルマメダカ(白アルビノヒカリダルマメダカ)

はじめに

本記事は村長のメダカ体験記を参考にしています。村長のメダカ体験記は、大場幸雄が2002年〜2005年の約3年間のあいだに書いた文章です。読まれていく内に、現在とは異なる部分が多々ありますが、その事をふまえた上でご一読ください。メダカ飼育を始めるきっかけや、楊貴妃やピュアブラックなど、新種メダカを作出するまでの過程などが書かれています。ぜひご一読ください。

※ホタルメダカとは、現在のヒカリメダカの事を指します。

ピュアブラック作出経緯

<第14話 2003年11月>

今回は、「アルビノホタルダルマメダカ」について書いてみようと思います。私が、最初にその名前を知ったのは、2001年のこと。あるパンフレットでした。

パンフレットには、こう書かれていました。

「メダカの最高峰 アルビノホタルダルマメダカ」その値段を見て、ビックリ。1匹が14万8千円。残念ながら、写真はのっていませんでした。さて、それからです。私のアルビノホタルダルマメダカへの挑戦が始まったのは。

当時、アルビノの普通種も高価でした。これは、「第三話」にも書いたことなのですが、アルビノの普通種は、1匹が5万円。それを10匹仕入れました。合計で50万円の出費でした。しかしながら、そのアルビノが7匹死亡。残るは、3匹。その3匹を使って、アルビノホタルダルマメダカに挑戦となったわけです。

考え方は、こうでした。まず、アルビノとホタルを交配し、アルビノホタルをつくります。同時に、アルビノとダルマを交配し、アルビノダルマをつくる。このようにしてできた、アルビノホタルとアルビノダルマを交配すれば、アルビノホタルダルマができるはずです。

そこでまず、アルビノとホタルを交配しました。アルビノは、卵を浮き草やシュロに産みつける習性はありません。卵をそのまま、産み落とすのです。それも一 個ずつ産み落とすのです。普通のメダカでは、いくつかの卵がかたまっているのですが、アルビノには、そういうことがないのです。それに、卵を産む時間帯が一定していません。普通、メダカは早朝に卵を産むことが多いのですが、アルビノはいつ産むのかわからないのです。したがって、水槽の中をいつもきれいにし、常時観察し、いつ産まれても卵が発見できるようにしておかなければなりませんでした。

アルビノとホタルを交配してできたF1は、ごく普通の茶メダカのような格好をしています。目も赤くありません。しかし、ここであきらめてはいけません。F1で、目指すアルビノホタルが出なくても、F2では、出てくるはずです。

F1同士を交配したところ、確かにアルビノが出ました。しかしです。アルビノホタルが出る確率は百分の一程度です。後は、アルビノの普通種が出ます。F2 はできたものの、これが非常に弱いのです。稚魚のうちに多くが死んでしまいます。生き残ったものも成長が非常に遅いのです。

アルビノとダルマの交配も同様でした。幾多の困難を乗り越え、やっとアルビノダルマをつくることに成功しました。さらに、アルビノホタルとアルビノダルマを交配し、同様にして、アルビノホタルダルマを完成させました。当時は、早くアルビノホタルダルマをつくりたい一心でしたので、冬にはヒーターで水温を上げ、蛍光灯も24時間つけっぱなしの状態でした。

私が、アルビノホタルダルマメダカ作りに夢中だったころ、2001年当時でしたが、「めだかの館」には、多くのマスメディアが取材に来ました。地元テレビ局も、ほとんどが取材に来ました。当時は、メダカが絶滅危惧種に指定されたこともあり、また、変りメダカとして改良メダカに注目が集まりつつあるころでした。私は、もともとは、さつき屋で、さつきを始めて25年になります。その間、さつきに関しては、マスメディアの取材など受けたこともありませんでしたが、メダカを始めてわずかの間に、多くの取材を受けたものです。

<第15話 2003年12月>

やっと作り出したアルビノホタルダルマメダカ。値段は、1匹数万円にしたと思います。数万円でも、私のそれまでの苦労に比べれば安いくらいのものです。しかし、当時は、1匹数万円のメダカが売れるはずもなく、店の「看板」として、陳列しておりました。

ところが、忘れもしません。2001年8月13日、午後4時ころのことです。ある来店者が、「アルビノホタルダルマを5ペアください」とおっしゃる。

最初、私は、そのお客様が桁を一つ間違えているのではないかと思ったのです。1匹数千円ならば、計10匹で数万円ですから、買えない値段ではありません。しかし、お客様に値段を確かめるのも失礼です。私は、緊張しながら、5ペアを水槽からすくいあげました。

恐る恐る、お客様に、本当の金額を言いました。

ところが、お客様は、驚きもせず、財布から1万円札を次々出されるのです。札は、すべて新札でした。私は、正直言って、ビビりました。

後でわかったことなのですが、そのお客様は、当店のアルビノホタルダルマメダカを見るのは初めてではありませんでした。当店が、いつも出店をしている催し 物会場で、すでに目にされていたのです。ですから、買う気になって、当店までこられていたのです。当然、財布の中に、かなりの額のお金が、用意されていた ことでしょう。

そのお客様は、メダカ専用の水槽を特注でつくらせているとのことでした。長さ1メートルの水槽です。1メートルと言えば、かなりの大きさです。その水槽に、メダカ10匹では少ないことでしょう。もっとアルビノホタルダルマメダカを買われるかもしれません。案の定、4日後の8月17日、また、ご来店。アルビノホタルダルマメダカを、もう5ペア買われて行かれました。

話は少しかわるのですが、当時のアルビノは、弱かったのですが、本当に透明でした。透明度が高く、血管の色で、薄いピンクに見えたものです。弱いだけに、高値で取引されるのも当たり前でした。しかし、最近のアルビノは強くはなりましたが、黄色がかった色になってしまいました。黄色がかったアルビノは強く、繁殖力は旺盛です。そのため、メダカの知識があまりなくても、繁殖が容易になりました。

他店で安売りされているアルビノを見ることもありますが、ただ目が赤いだけで、黄色がかったものが多いようです。これでは、本物のアルビノとは言えません。

当店のアルビノは少し高価ですが、美しい透明感を持ち、泳ぐ姿も華麗です。今でも、本当に、透明なアルビノをつくるのは至難の業であり、高値で取引されるのも当然と言えましょう。

参考資料

「めだかの館 平成20年度 No.7 」,  2008年 刊, めだかの館 著