改良メダカの特徴である透明鱗(とうめいりん)について説明します。
本ページは、日本メダカ協会公式ガイドライン 改良メダカ品種分類マニュアルを基に解説しています。
目次
由来・概要
エラ蓋(ぶた)部分(ほっぺの部分)が赤くなる(以下,赤エラとする)メダカです。
エラ蓋部分の虹色素胞が欠如することでエラが透けて血液の赤色が見えるため,エラ蓋が赤くなります。
透明鱗の赤エラ以外の特徴
また,透明鱗の特徴は赤エラだけでなく
・体色がやや透明になる
・ヒレに色がのる(ヒレ美)
・ 体色が部分的に色抜けする
など,様々です。
しかし,透明鱗の主たる特徴は赤エラであるため,ここでは透明鱗の基準を赤エラとします。
普通鱗(ふつうりん)
また,透明鱗の特徴を持たない野生型のメダカを,透明鱗と比較し「普通鱗(ふつうりん)」と呼びます。
非透明鱗(ひとうめいりん)
透明鱗の形質を有しておらず、かつ紅白や三色のメダカを「非透明鱗(ひとうめいりん)」と呼ぶことがあります。
例:非透明鱗紅白、非透明鱗三色
特徴
エラ蓋部分が赤く透けて見える
形質補足
補足についてはこちらの記事にまとめています。
透明鱗(片ホホ)
片ホホとは,片方のエラ蓋部分が虹色素胞に覆われ,片方しか赤エラになっていない透明鱗です。両方が赤エラになるのが透明鱗のスタンダードとすれば,片ホホは片方のエラ蓋部分にしか透明鱗の特徴が発現していない個体です。
前述の通り,透明鱗には赤エラ以外の特徴があり,ヒレ美(図参照)や体色が部分的に色抜けするなどの特徴を有しています。朱赤体色に透明鱗の部分的に色抜け(白)する特徴を組み合わせることで,2色メダカ(紅白メダカ)が作出されました。
透明鱗(ホホ無し)
ホホ無しとは,エラ蓋部分に虹色素胞が覆いかぶさり,赤エラになっていない透明鱗です。
前述の通り,透明鱗には赤エラ以外の特徴があり,ヒレ美(図参照)や体色がやや透明になるなどの特徴を持っています。これらの特徴は普通鱗では発現しません。つまり“赤いエラは確認できないが,赤エラ以外の透明鱗の特徴が発現している個体”をホホ無しと呼びます。
ホホ無し透明鱗と非透明鱗の関係
従来は、ホホ無し透明鱗=非透明鱗という呼び方をしていました(2015年発売のめだか大図鑑(めだかの館出版)に記載)。
しかし、前述の非透明鱗三色(=透明鱗三色以外の三色メダカ)という言葉が使用され始めて以降(2016年以降)、ホホ無し透明鱗を非透明鱗とは呼ばなくなりました。
類似した形質
なし
透明鱗メダカ一覧
透明鱗の特徴を含むメダカ一覧は、こちらからご覧いただけます(本サイトの【タグ】にて検索できます)。
参考資料
・エラ蓋に虹色素胞を持たないため,エラが赤く透けて見,体の透明感が強くなる。
日本メダカ協会公式ガイドライン 改良メダカ 品種分類マニュアル(第2版、2022年4月刊)
解説動画
最後に
透明鱗の功績
透明鱗という形質は、当店の創業時(2000年)にはすでに発見されていたように記憶しています。
記録としては、2006年より透明鱗の販売を開始し、改良メダカ年表に記載しています。
透明鱗との交配によって、単色だけであったメダカの世界に、紅白や三色といった多色の体色が産まれました。
このメダカに透明鱗の形質を組み合わせることで・・・
三色メダカの基礎となる琥珀透明鱗メダカが産まれました。
2007年に仁井谷努氏が作出。
ニックネームは紅鮭(べにじゃけ)。
いまでこそ地味なメダカに見えるかもしれませんが、当時は大変画期的なメダカとして話題になりました。
これらのメダカを経て、透明鱗系三色メダカが産まれました。
なお、非透明鱗系のメダカはこれらの作出経緯とは全く別ものとなります。
改良メダカの44種類の特徴
体色の特徴
透明鱗(とうめいりん)の特徴
目の変化の特徴
虹色素胞(こうしきそほう)の特徴
柄(がら)の特徴
ヒレの変化の特徴
体型の特徴